結成して四年、ロックバンド『DEAD BUTTERFLY』にボーカルはいない。
ベースのリイト、ドラムのキンヤ、そしてギターのサブリナは探し続けていた。永久に生き続ける曲の為に、九十年代、ミリオンヒットを連発し、一瞬で人の心を虜にした歌姫のような、カリスマを。
令和の世にもきっといる――。
彼らの揺るがない心が、酒場の詩人、ユキと出合わせた。
しかし彼女は高音病、歌えば歌うほどに命が枯れていく。
目指す永遠の為に、彼女の命を削るのか……。
三人の葛藤とは裏腹に、大衆がユキを死のステージへといざなった。
凍てついた夜深の空にユキの声が走る。
レビュー