もう遅いの小説一覧

小説家になろう

貴方が一度も呼ばなかった、私の名前

 婚約してから6年。婚約者グレゴワールは、私の名を一度も呼んだことがない。「ねえ、君」「お前」「あの方」——彼の口から零れる呼び方は、いつもそれだけだった。彼は笑って言うのだ。「君の名前、覚えるのが下手で」と。  王宮の冬の夜会。彼が4度目の「ねえ、君」を口にしたとき、兄ジョスランが大きな書類鞄を....
著者 : 夢見叶
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ご病弱な令嬢、と仰った貴方様へ。神殿の診断書、ご一読ください

 幼少から「病弱」と家族に呼ばれ、心配されてきた伯爵令嬢シャルロット。  舞踏会の控えの間で、5年来の婚約者は、シャルロットの妹を抱きしめながら告げた。「お前の薄い体では、世継ぎは産めまい」――。  シャルロットは深く一礼し、その夜、神殿に向かった。実は彼女には、家族の誰も知らない、もう一つの身....
著者 : 夢見叶
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詐病ですか? 大変ですわ、婚約診断書を提出いたします

「ミレーヌは病弱なんだ。少しぐらい優先しても、君なら分かってくれるだろう?」 婚約者ヴィクトルは、幼馴染のミレーヌが「発作」を起こすたび、私との約束を破って彼女のもとへ走っていった。 夜会も、婚約式の打ち合わせも、父の弔問の日さえも。 私は何度も確認した。 「診断書はございますか?」 「発作....
著者 : 夢見叶
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ツンデレのデレが漏れてこない婚約者に絶望した令嬢は、精神的処女として生きる

「下品だ。娼婦のつもりか」「無駄なものに金をかけるな」 婚約者コンラート様は、冷たい言葉で私の愛情を踏みにじってきた。彼のために苦労して手に入れた誕生日プレゼントすら冷徹に「処理」された瞬間、私の中で何かが死んだ。 「この人に、私の心を差し出すのは、もうやめよう」 愛も期待も、怒りすらも。私の心は自....
著者 : こじまき
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契約妻は契約妻らしくしていろと言われましたので、婚姻契約書第十七条に従いました

帝国の名門エセルバート公爵家に契約妻として嫁いだ私に、夫君は初夜の翌朝こう告げた。 「君は契約妻だ。私の心は隣領のリーゼ嬢にある。契約妻は契約妻らしく、家を整え、子を産まず、私を煩わせるな」 かしこまりました。それでは、契約書の通りにいたします。 我が家ローゼンタール伯爵家には、初代当主が定め....
著者 : 夢見叶
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婚約破棄ですか。では、その歩幅でお一人でどうぞ

王太子ルシアンに「君は歩くのが遅すぎる」と婚約破棄された伯爵令嬢セリア。 十年もの間、彼の乱れる魔力と足取りを、自分の靴音で整えてきたことを誰も知らない。 けれど婚約破棄の日、セリアは銀の踵飾りを外し、静かに告げた。 「では殿下。あなたに合わせていた歩幅を、今日でやめます」 翌日の継承舞踏で....
著者 : 夢見叶
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婚約解消の日、私は返納品を数え終えました——指輪が一つ、足りませんでしたが

「自由な恋がしたい」と婚約解消を告げられた日、私ヴィオラは返納品を一つずつ数えました。指輪が一つ、足りませんでしたが、まあ、それはあちら様のご事情。——ベレント公爵家のご令息が、従姉妹と新しい婚約を結ばれるそうです。どうぞご自由に。ただ、返納が済んでいない婚約の上に、新しい婚約は重なりませんよ。国法....
著者 : 夢見叶
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「口下手な子供を甘やかしているだけだ」と追放された令嬢——社交界デビューの夜、緘黙だった公爵令息が国王の前で名を名乗った

「口下手な子供を甘やかしているだけだ」——貴族子弟の話し方指導を行っていたカティア男爵令嬢は、成果が見えないと追放された。 カティアの教室には、吃音の子、場面緘黙の子、言葉を失った子が通っていた。彼女は一度も「早く話しなさい」と言わなかった。絵を描かせ、歌を歌わせ、手紙を書かせた。言葉が出るまでの「....
著者 : 歩人
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「遊んでいるだけの女に用はない」と追放された令嬢——彼女が設計した『遊び』がなくなった日、騎士団の子供たちは剣を抜いた

「いい年をして子供と遊んでいるだけか」——騎士団子弟寮の遊戯指導係ベルタ伯爵令嬢は、婚約者にそう嗤われて追放された。 ベルタが設計した「遊び」は普通ではなかった。暴力的な子には砦遊びで破壊衝動を発散させ、孤立した子には粘土遊びで接触の糸口を作った。 遊びの時間がなくなった子弟寮で、二週間後から暴力事....
著者 : 歩人
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残り物ですがと言ったら公爵に叱られました

3度の婚約破棄を経て辺境に送られた伯爵令嬢セシリア。添え書きには「返品歴あり、問題なし」とだけ。「残り物ですが構いませんか」と尋ねた私に、公爵は静かに怒った。....
著者 : 夢見叶