雨が降ればよかったのに

雨が降ればよかったのに。
気持ちが涙のように頬を通って地を這うなんて綺麗な言葉じゃない。
土砂降りのような気持ちなんて小説家みたいな言葉じゃない。
私は雨をしっかりと溜め込んだ雲になってしまったのか。
五臓六腑にはモヤがかかり、そのせいか身体が少し重く、頭は垂れ歩くのがやっとだ。
まだ降り出すこともできない。
雲と同じようにじっと耐え雨が降り出すのを待たないといけない。
私の気持ちがどこか遠くに降り出すのを待たないといけない。
まだ梅雨はこない。
雨が降ればよかったのに。

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