【3章】雇われ悪女なのに、冷酷王子な旦那さまを魅了魔法で篭絡してしまいました。不本意そうな割には、溺愛がすごい。

「――うるさい。俺だって、好きでお前にこんなにも惚れている訳じゃない……」
「か、可哀想なエドガルドさま……」

***

悪女の汚名を着せられて、神殿を追放された聖女メアリ。けれど、命懸けで働いても給金すら貰えない日々から解放された当のメアリは大喜びだ。

「これからは、悪女として生きてみせましょう」

メアリは売り飛ばされた先から逃げるため、魅了魔法を使って逃げ出そうとする。しかしメアリに大金を積んだ相手こそは、強国の冷酷な第一王子エドガルドだった。

エドガルドは『他者の魔法が一切効かない』という体質で、その特異性と残酷さから、呪われた王太子として恐れられている。

彼は、「俺の妃となり、悪女として振る舞え」と持ち掛けてきた。
確実に何か裏がある、怪しい取引だが……

「――それは、私を悪女として雇ってくださるということでしょうか!?」
「……は?」

嬉々としたメアリの反応に、困惑を見せるエドガルド。

そんなふたりの視線が重なった瞬間、魅了魔法が発動してしまった。
一瞬慌てつつも、エドガルドには魔法が効かないことを思い出してほっとしていると……?

「お前いま、俺に何をした?」
「まさか、魅力魔法が効いちゃってますか!?」

呪われた王太子のはずが、何故かエドガルドはメアリに恋をさせられたようで!?

「……正真正銘の、この悪女め……」
(た、大変なことになっちゃった……)

***

不本意そうなエドガルドは、渋々な割にはとんでもない溺愛をメアリに注いでくる。
メアリはそれを可哀想に思いつつ、せめて立派に悪役令嬢ならぬ悪女を勤めようと頑張ることに。

なのに、元筆頭聖女の力による精一杯の悪事は、うっかり民を幸せにしてしまう。

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