【第一章完結】魔眼の英雄~「無能の雑魚」と勇者パーティを追放されたので、勇者の裏側で英雄として成り上がる。え?今更戻って来いと言われてももう遅い。

著者:煙雨

俺—ダイラル・エルボは一年半前に勇者—ハリーからパーティの勧誘を受けて仲間になった。
そこからは、毎日仲間のことを考えて支援に専念していた。

そんなある日、クエストが終わって屋敷に戻ったサイト、ハリーに言い渡された。

「明日から来なくていいぞ」
「な、なんで……」

 俺が唖然としていると、ハリーが言った。

「お前が無能だからに決まっているだろ」

 その言葉へ続くように、ハリーや聖騎士であるリバルと賢者のマリアが笑い出した。
 それ以外にも、俺の眼がオッドアイで不気味と言う理由なども言われる。

(百歩譲って無能はいいが、眼の色なんて変えられないじゃないか……)

 それに、長年一緒に冒険してきた仲間じゃなかったのかよ……。

 俺がそう思っている時も、みんなから罵倒の嵐を受ける。そして、最後には俺の代わりになる新たに加える仲間を紹介された。

「初めまして。本日より勇者パーティの一員になるアクル・ジンジャーと申します」
「ぁ……」

(本当に俺は必要とされていないんだな……)

 そう思い、屋敷を出る直前、アクトに耳元で囁かれる。

「元勇者パーティのお荷物さん。今までご苦労様でした。これから無能らしく有象無象の一人として頑張ってください」

(クソ)

 絶対に見返してやる。

 俺はそう決意して、この場を去って行った。

 この時の勇者パーティ全員は、ダイラルの位置取りやカバーの早さのおかげで安全に戦えていたことを知る由もなかった。
 それに加えて、新たに加えた仲間が考えていた企みによって、勇者パーティがどん底に落ちていくのはそう遠い話ではなかった。


ハイファンタジー7位
日間総合連載19位

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