今日も誰かが飯を食いに来る。異世界スローライフ希望者の憂鬱。

著者:KBT

 困っている人を見ると放っておけない。
 そんな性格が災いして、現代社会でいいように使われてきた荻野遼は疲れていた。
 面倒な仕事を押し付けられ、関係ない仕事の責任を負わされ、彼女は出来ず、割り勘なのに多く払わされる。
 それなのに存在を軽んじられいた。
 そんな生活が10年続いたため、遼はすっかり人間不信になっていた。
 そんなある日、彼の世界は激変する。
 高層ビルが一つもない、自然が溢れる広い世界。
 そこで遼は神との邂逅を果たす。

「やぁ、神の間で流行っている異世界転移ってのをやってみたんだよ。ごめんね」

 軽い言葉に遼は憤慨と不安を感じ、早く帰らせろと言いかけたが、その言葉は口から出てこなかった。

「あの醜い世界で生きなくて済む。もう良いように利用されるのは嫌だ。1人でのんびり暮らしたい」

 その魂の叫びを神は受け入れ、遼はリョウと名を改め、異世界で第二の人生を始めるのだった。
 神に貰った様々な能力で素材を集め、趣味の料理で穏やかに過ごす日々、リョウは満足していた。
 しかし、そんな穏やかな日は長く続かなかった。
 腹を空かせた者達が、リョウの周りに集まってくる。
 もう他者と関わるのは嫌だと思っていたリョウだが、お人好しの性格のせいで、面倒ごとに巻き込まれてしまうのだった。

 この物語はスローライフを生きたい男と、ハードに生きたい者達の物語である。

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