なんてことのない一日になるはずだったのに……。
ある日突然、私は異世界に召喚されてしまった。
周りを取り囲む歓声と興奮する人々に私はただ恐怖を感じることしかできず、彼らの望むままに聖女になった。
それは歴史的な一日になるはずだったのに……。
神の教えを忠実に守る敬虔な神官である僕は、百年ぶりの聖女召喚の場に立ち会っていた。
けれど、そこに現れた聖女は恐怖に怯えて顔を歪ませていた……。
この大陸では百年ごとに発生する瘴気溜まりを浄化するため、異世界から聖女を召喚するのが慣習だった。
そんな世界に召喚された今代の聖女マリカと、彼女の教育係として抜擢された神官グレン。
グレンはマリカの恐怖に怯える顔が忘れられずにいた。
「も、申し訳ありませんでした!」
出会ってすぐに謝罪をするグレンに驚くマリカ。
「私をこの世界に召喚したことに対する謝罪……そういうことでしょうか?」
「……はい」
「ふふっ、そんな……謝罪なんて結構ですよ」
そう言って、マリカは微笑った……いや、嘲笑ったのだ。
日常を奪われた猫かぶり聖女マリカと執着系神官グレンの物語です。
※恋愛要素は薄めです。二人にとってはハッピーエンドになる予定です。
※23.4.11 日間異世界転生(恋愛)ランキング4位でした。皆様のおかげです。ありがとうございました!
※23.4.13 番外編を追加しました。
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