パワハラ賢者にこき使われてきた黒魔導師ですが、田舎でのんびり暮らします ~どんな敵でも一瞬で弱体化させていた最強の黒魔導師は、誰も自分のことを知らない田舎でスローライフを送りたい~

俺の彼女のマーリンは、賢者の二つ名がつくほどの魔法の才能を持っている。
けれどあらゆる魔法を使いこなす頭脳と誰もが羨むほどの美貌を持つ彼女には、裏の顔があった。
「あんたって本当に使えないわよね! 一人じゃゴブリンの一匹も倒せないなんて……生きてて恥ずかしくないの?」
彼女には世界中を飛び回って活動することで溜まったストレスを、俺にぶつけることで発散する悪癖があったのだ。
けれど俺――黒魔導師のカースは、昔からの幼なじみであるマーリンからパワハラを受けても、何も言い返してはこなかった。
なぜなら俺が使える魔法は黒魔法……相手の能力を減少させたり、状態異常にかけることしかできない魔法だからだ。
直接的な戦闘能力は皆無で、自分では魔物一匹倒すことすらままならない。
無能の俺なんかと一緒にいてくれるのは、マーリンだけだ。
そう思い、常習的なパワハラにも耐えてきた。
けれどもう流石に、我慢の限界だ。
俺はパワハラと世間のバッシングに嫌気が差し、マーリンに別れを告げる。
「誰も俺のことを知らない場所で、一からやり直す」
そう決意してマーリンと絶縁し、俺は気の向くままに田舎暮らしをすることにした。
村の狩人として働くことになって色々とわかったんだが、どうやら俺の黒魔法はどれだけ強力な魔物も一瞬で弱体化させる強力な魔法だったらしい。
俺はこの力を使って、村の皆を幸せにすると決めた。
マーリンはいなくなってから俺の真価に気付いたらしいがもう遅い。
俺が悠々自適な田舎暮らしを満喫するかたわら、マーリンは賢者とは思えぬほどの愚かな失態を繰り返し、どんどんと落ちぶれていくのだった……。

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