結婚初夜。寝室に向かう男には胸に秘めた決意があった。
「この結婚は政略結婚だ。しかし、僕には愛すると決めた人が別に居る……」
残念ながら妻になったのは、最愛の人ではない。
しかし彼は愛を、最愛の人へ誓っていた。
それは世間的に言えば『愛人』と呼べる相手だったが……。
彼は妻となった女に告げようと誓っていた。
結婚初夜。寝室で粛々と自分の訪れを待っているだろう妻。
彼は寝室の扉を開くと共に告げた。
「僕が君を愛することはない! ……あれ?」
初夜を待っている筈の妻は……寝室には居なかった。どこへ?
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