コミュ障ダンジョン探索者、人助けしまくってたことがバレて感謝されすぎる ~やめて! もう感謝しないで!~

著者:マノイ

※平日更新の予定です

 ダンジョン探索者、槍杉 救(やりすぎ すくい)には大きな悩みがある。
 それは長年ダンジョンに一人で住んでいたが故に発症したコミュ障のこと。

 救はコミュ障を治すために住処である奥多摩ダンジョン(最難関ダンジョン)に来る同業者に相談したかったのだが、ここしばらく何故か誰もやってこない。 

「何で誰も来ないの~!」

 溜まったストレスを発散させるため、救は奥多摩ダンジョンで暴走し魔物達を轢き殺す。そして上層まで辿り着いた時に同業者の悲鳴を耳にした。
 現場に辿り着くと大剣を持った若い女性探索者が魔物と対峙しており、幸いなことに救が手助けする必要は無く彼女は魔物を撃破した。

 久しぶりにやってきた探索者を逃すわけには行かない。
 だからと言ってコミュ障の救がそのまま彼女の前に登場しても話せる自信がない。

 そこで救は銀色の仮面を装着して彼女の前に姿を晒した。

「まずはおめでとうと言っておこうか、女」

 仮面をつけると少し高圧的な態度になるが、相手と話が出来るようになる。実際、仮面をつけて何度も人前に出た経験があり、世間ではシルバーマスクと呼ばれていた。

 シルバーマスクとして女性探索者に会話の練習相手になって欲しいとお願いする救だが、何故かその途端に彼女が襲い掛かって来る。
 信頼されていないのだと考えた救は、彼女を返り討ちにした後に仮面を外したのだが……

「ぷぎゃああああああああ! やっぱり無理いいいいいいいい!」

 話など出来ずにその場を逃げ出してしまったのであった。

 救は知らない。
 シルバーマスクの姿で人助けをしすぎたせいで英雄と持て囃されていることを。
 出会った女性が日本で知らない人は居ないと言われる程有名なダンチューバーであったこと。
 しかも配信中であったためシルバーマスクの正体が世界中に知れ渡ってしまったこと。

「シルバーマスク様!」「助けてくれてありがとうございます!」「超可愛いんだけど」「男……の娘?」

 やがて救は救世の英雄として崇め立てられ、沢山の「ありがとう」に悩まされることになる。

「やめて! もう感謝しないで!」

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