捨てられ公爵夫人は、平穏な生活をお望みのようです

「君に伝えておくことがある。私は君を妻として愛するつもりはない」
結婚式が終わってやっと一息ついたところで夫になったばかりの
アレクシスにそう告げられたメルフィーナ。

アレクシスから開拓中の貧しい土地をもぎ取り、
公爵邸を後にしたメルフィーナの共はアレクシスのつけた
監視役の護衛騎士、セドリックと無口な侍女のマリーのみだった。

結婚直前に前世の記憶を取り戻したメルフィーナは、
ここが前世で雑学系乙女ゲームと揶揄された
「ハートの国のマリア」の世界であり、
自分がアレクシスルートの悪役、
メルフィーナ・フォン・オルドランドであると気づいてしまう。

家族とは不仲、結婚相手には愛する気も子供を作る気もないと
言われたメルフィーナは、何もかも馬鹿馬鹿しくなった。

実家も婚家も、もう知らない! あんな男のために悪役になって
修道院送りになるのもまっぴら後免よ!

不遇に育ち不遇な結婚をしてしまったメルフィーナは、
家族も夫も関係なく勝手に幸せになろうと決意するのだった。

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