ブラッディ・メアリは支配する

著者:雨川水海

 メアリは、ウェールズ辺境伯家の次期当主である。
 メアリは、秘密結社の最高位の長である。
 メアリは、その身に猛毒を秘めた怪物であり、美しくわがままな令嬢であった。
 そんなメアリの十五歳の誕生日に、家の当主である父親が亡くなった。
 それは、ウェールズ辺境伯家の権力が少女のモノになることを意味し、少女の中の怪物が解き放るれたことを意味する。

 己の好み以外に制御がなくなったメアリの前に、立ちふさがる者達がいた。メアリの若さを理由に侮って、彼女が持つ辺境伯家の利権、秘密結社の成果、メアリの猛毒を奪おうとする者達が、集まって来たのだ。
 花の蜜に群がる害虫のようなそれらの蠢動を見て、メアリお嬢様は毒の滴るような笑みで決定する。

 ――叩き潰す。

「ええ、私らしく、私らしくやるわ! 合理的に敵を枯らし、贅沢に生を養い、美しく咲き誇るの!」
 世界を己の庭として、美しく咲き誇るため、メアリ・ウェールズは自らの歩みを踏み出す。
 間もなく、その名前は歴史に記される。
 真っ赤な血文字で、大きく――ブラッディ・メアリと。

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