アベルは中堅テイマーとして、ギルド【火焔の煌めき】にそこそこ貢献してきたつもりだった。
「アベル! おまえはウチのお荷物なんだ! いるだけで邪魔なんだよ!」
「クスクスクス……」
「あいつ、怒られてやがる」
しかしながら、ギルドマスターをはじめ、他の冒険者はアベルをお荷物だと思っていたようだ。
「おいおい、本気で言ってるのか?」
アベルがテイムしていた魔物……リオは、仲間のステータスを2倍(※なんと実際は5倍だった)にする能力を持つ。これがあるからギルドは強いのだという自負があった。
なのにアベルを追い出したらギルドは瓦解する。
そう訴えたが受け入れられず、アベルはとうとう追放されてしまった。
しかも【火焔の煌めき】は影響力がでかく、そこから除け者にされたアベルを、誰も雇おうとはしない。
このままでは一文無しだ。
「仕方ない。表社会じゃ生きられないなら……違う世界に行ってみるか」
そしてアベルが選んだのは悪徳奴隷商人。
獣人……激しく人間を嫌う種族をテイムによって一瞬で懐かせ、裏の道に進むことを誓う。
なのに……困った。
悪徳奴隷商人になったのに、誰も俺から巣立とうとしないんだが?
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