俺の父方の田舎には、思いの丈を絶叫する【絶叫祭】というものがある。
ここで思いの丈を叫ぶと、願いが叶うと言われている祭りだ。
言い伝えは言い伝え。
大して信じる訳でもないが、そこで俺は、ある女の子への想いをぶつけようと思い、参加した。
こんなド田舎の祭りだ。どうせ彼女も見ていないことだし、思い切り叫ばせてもらうぜ!
「俺、丹波裕二《たんばゆうじ》はああああああああ!! 同じクラスの柳谷美南《やなぎやみなみ》さんのことがあああああああ!! ……結婚したいほど大大大ッ、大好きだああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
言った。叫んだ。
思い残すことはなにもない。
そう思っていたが──彼女はいた。
柳谷美南が、そこにいた。
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