「エルヴィラ・ヴォダ・ルストロ。お前を聖女と認めるわけにはいかない! お前が育てていた『乙女の百合』は偽物だった! この偽聖女め!」
アレキサンデル様が、わたくしをそう罵ります。
皆が驚きの声をあげました。
「エルヴィラ様が聖女でなかった?」
「何かの間違いでは?」
それもそのはず。
本来なら、わたくしが、正統な聖女だと認定されるはずの儀式です。
それが、一転して、「偽聖女」呼ばわり。
さらにアレキサンデル様は、宣言します。
「聖女ではない女とは結婚できない! お前との婚約は白紙に戻す」
そこで、初めてわたくしは、口を開きました。
「ーー承知しました」
※アルファポリス様 カクヨム様でも連載してます。
王妃になる予定でしたが、偽聖女の汚名を着せられたので逃亡したら、皇太子に溺愛されました。そちらもどうぞお幸せに。のページへ
レビュー
物語の冒頭で、主人公が『偽聖女』として立身し、婚約破棄される展開から始まり、『偽聖女モノ』と『追放ざまあ』の要素が含まれています。好きな人にはオススメです。
ゾマー帝国皇太子を招待したのが、エルヴィラの父であるルストロ公爵となっていますが、キエヌ公国に雲隠れしたことから、
・トゥルク王国の弱体化
・パワーバランス的にゾマー帝国のほうが強い立場であること
・ルストロ公爵が帝国側につけば王国が瓦解しかねないほどのキャスティングボートであること
が分かり、ワクワクさせられます。
またナタリアは特別な力は持たず、努力家で悪人ではないが、教養の欠如により田舎のヤンキーのような価値観と矜持の持ち主であることが表現されていて面白いです。