「そういえば今日、ルイズ男爵令嬢が話しかけてきたのだが、やたら距離が近く、不自然なまでに腕に触れようとしてきたので、婚約者以外の女性に触れられるのは迷惑だし不愉快である旨を伝え、淑女としての礼儀に欠けているようだからマナーについて一から学んだほうがよいと彼女の将来のために助言したのだが、突然泣き出してしまってな…大変困惑してしまった…」
「…そうですか…」
「それからミッシェル伯爵令嬢が君のことを未来の皇太子妃としてふさわしくないなどと言ってきたので、もちろん彼女なりのセンスのない冗談とは分かっていたのだが、君が性格・容姿・家柄そして私との相性という面においてミッシェル嬢と異なり、どれだけ人並外れて優れているか一時間ほどかけて十分説明しておいた。
彼女も己の非に気付き、ひたすら謝罪していたよ」
「……そう…です…か…」
私は公爵家令嬢カルメン・ドゥ・イルズ。
そしてこのくそ真面目な私の婚約者がジャン・ド・ジラルド第一王子である。
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