不埒に溺惑

著者:藤川巴

「××もらってくれませんか」

玉砕前提の、一世一代の告白をしたつもりだった。

「小宮さんの誘惑に耐えられなくなったら、抱きます」
「ゆ、うわく……?」

——それがどうして、こんなに難しい恋愛ごっこになってしまった?

「誘惑はお休み?」
「八城さんに誘惑されすぎて、それどころじゃない」
「恋愛初心者には見えないんだけどな」

本当に初心者なので、手加減してください、八城さん。

「俺以外のやつにフラフラしたら」
「し、たら?」
「遠慮なくめちゃくちゃにする」

『不埒に溺惑』

レビュー