エッチしたら人生変わるって本当ですか?

モテない男にモテ期はやってこない。
これが、この俺、|持内《もちない》隆弘の持論だった。
もうすぐ30歳。
童貞を貫くと魔法使いになれると言われる歳になる。
そんな俺は恋をした。
恋した相手は橘恭子さん。
会社で一番の美人だ。

恭子さんとの出会いはとても激しい雨の日。

嘘のような本当の話。
少女マンガか!とツッコミを入れたくなるような。
そんな話。

俺は、突然の激しい雨を見てため息を吐き傘を忘れて会社の前で途方に暮れていた。
そんなときに声をかけてくれたのが、恭子さんだった。

「よろしければ途中まで入りませんか?」

舞い上がる気分。
舞い上がるテンション。
綺麗な人に声を掛けて貰うだけでこんなにテンションが上がるのかと思うくらい嬉しかった。

そして恭子さんが、白血病を患っていたことを俺はその後知る。
恭子さんが俺に近づいた理由は型が一致した俺の脊髄が欲しかったんだ。
俺は、ショックを受けつつも提供手術をすることを決めた。

そして、手術の後、恭子さんは僕の前から姿を消した。

落ち込んだ僕の前に現れたのは、恭子さんの親友だった笹山美香さんだった。
落ち込む僕を色んな方法で励ましてくれる美香さん。
元気を取り戻しつつあるも、僕は恭子さんのことを忘れずにいた。
そして、そんな僕に出された辞令は、転勤だった。
新しい勤務先に着いたとき。
あのときのような激しい雨だった。

「よかったら、入りませんか?」

そう言って俺に傘を出してくれたのは、姿を消したはずの恭子さんだった。

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