【R15版】その後の世界で君とともに

 たった一日の世界大戦が終わったあと。
 文化も技術も失い、それどころか、人間の存続すら危うくなった。
 人々は人類を存続させるためのシステム作りを構築しはじめた。
 人間の種の保存を第一目的とし、生れてきた人間の命と繁殖のための義務が、全てにおいて優先した世界。人口増加のため精子卵子を人工授精し、人工子宮で育成するシステム。生れた命は徹底的に保護されながら、一方で自由と人権のない状態を受認せざるを得ないシステム。そのシステムを常識と考える若者たちが世界を担い始めていた。
 
 半径三十キロ圏内に居住者が一人という体制。それは争いと殺し合いを避けるためのシステム。命を徹底的に守るシステム。
 システムが動き出し、人工授精で生まれたカイトは日本札幌居住区で教育特化型アバターのパマに育てられ、十八才の年齢を迎えていた。
 パマが去る日、彼女がカイトの元にやってきた。
  
 カイトの精子提供義務を補助することを第一目的とし、カイトのためだけにブラッシュアップされたアバター・ニーナ。ニーナは、カイトの十八才の誕生日、教育型アバター・パマから引継ぎ、カイトに全てを捧げるために、カイトの前に現れた。
 パマが去り、カイトはニーナに導かれ、義務を果たすためにニーナと身体を重ねた。二人だけの生活が始まる。

 ニーナが見守り愛を注ぐカイトを、見つめている女性がいた。リアルでの接触を試みるユキコ。彼女は世界のシステムに疑問を持ち、自分のからだで妊娠出産をしたいと決意していた人間の女性だった。
 世界のシステムを受け入れ、パートナー型アバターとの生活に疑問を持っていなかったカイトは、ユキコとの出会いをきっかけにニーナへの想いを新たにする。

 ニーナへの想いを募らせていくカイトは、やがてニーナが機械のからだを持っているゆえ、悩み始めていた。ニーナがニーナであるとは何を意味するのか?

この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません

フリーイラストを若干の加工・トリミングを加え使用させていただいています。
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