春来る君と春待ちのお決まりを

三月三十一日
それが、俺たち二人の誕生日
同じ日に、同じ場所で、同じ時間に産まれたお隣の子供
それが俺たちの変わらない関係だ

高校三年生の俺「五十里悠真」には、昔からの習慣がある
それは隣に住んでいる、とっても特別な幼馴染である「白咲羽依里」と話すこと
その習慣に例外はない
どんな時でも、その習慣だけは毎日欠かさず行ってきた
雨の日でも、台風で交通機関が麻痺しても、俺がインフルエンザにかかっても、何らかの手段で羽依里と一日一回会話を交わす。
できれば、顔を合わせて話す。それが、俺の習慣

これは、俺と羽依里が過ごすとある一年のお話
俺がこよなく愛する、小さくてそれでいて意地っ張りで寂しがりやな女の子と過ごした、高校最後の青春の物語
世界が壊れたり、裏社会に引きずり込んだり、魔法が使えるようになったりしない
ただ、普通の日常をだらだらと過ごしていくだけの、お話だ

今日も俺は羽依里の元へ駆けていく
そして言うのだ。いつものお決まりの文句を、彼女へ―――――――――――!

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