余命一年の公爵子息は、旅をしたい

著者:サンボン

 大国エストライア帝国にある五大公爵家の一つ、ラングハイム家の長男として生まれたヨナは、生まれつき膨大な魔力が原因で寝たきりの生活を強いられていた。

 ある日、ヨナは偶然にも一冊の本に出逢う。
 それは、失われてしまった古代魔法の全てが記された本。

 その日からヨナは、古代魔法の習得に心血を注ぐ。
 本に記されていた一文……『物体を操る魔法』があれば、いつかきっと普通の人のように歩けるようになれると信じて。

 努力が身を結び、ヨナは自分の力で立ち上がることができるようになった。
 歓喜に震えたヨナは、自分がもう出来損ないではないのだと知ってもらうため、父のもとへ向かう。

 ……だが、そんな彼の努力を、奇跡を、父は認めてはくれなかった。

 それでもいつか家族が見てくれると信じて必死に生きるヨナは、十一歳の誕生日を二週間後に控え、残酷な現実を突きつけられる。

 ――自分に残された命が、あと一年しかないことを。

 絶望に打ちひしがれるヨナは、死ぬ前の最後の望みとして世界中の伝説を求めて旅に出る。

 だが、彼は知らない。
 旅の先で、彼の古代魔法がたくさんの奇跡を起こすことを。

 ――たくさんの大切な人との出逢いと、たくさんの幸せが待っていることを。

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