愛が重たい悪役令嬢は婚約者を諦めたい

レビュー(1件)
著者:kowa

大好きな婚約者に誕生日をすっぽかされたフローラはそのショックでパン職人だった前世を思い出してしまう。しかも前世でハマっていたファンタジー乙女ゲーの世界の悪役令嬢に転生してて…

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レビュー

  1. 荒川 より:

    未来に起こるであろう悲劇を回避するために主人公が動くというバタフライ・エフェクトを題材としたものではなく、最初から皇子クラウスと結ばれる結末を潰した上で、最低限、周囲との関係改善を図ることで家の取り潰しや投獄、追放等を回避するとして、ゲームとパン作りと現代日本に関する知識しかないフローラ(あるいはみさき)がどんな人生を選択するのか――がこの物語の肝!他の作品とはまた違った展開です。
    その一方で、急にフローラからの求愛行動が途絶えることとなり、クラウスが今まであまり気に留めてなかったフローラのことが気になるようになる描写を入れることで、意図せざるところで『いきなり連絡を絶つことで相手に揺さぶりをかける』という高度な恋愛テクニックが発動してしまうのがなんだか面白い笑。

    ⭐️あらすじ⭐️
    フローラ・ロズベルグは15歳の誕生日の日、婚約者であるプリミスティブ王国の皇子クラウス・マキベルが屋敷に来訪できない代わりにやって来た従者から受け取った青いリボンの髪飾りを目にした途端、何故か自分とクラウスが結ばれることはないと悟ると同時に意識が遠のいてしまうとともに、兄・カインに介抱されて意識を取り戻した刹那、自分の中にパン職人で間もなく自分の店を出す予定だったみさきという30歳の日本人女性の記憶と人格が入っていることに気付くとともに、この世界が『プリミスティブの精霊達』という乙女ゲーの作品世界であることを知り、よりによって婚約者である皇子クラウスに近付くヒロインに嫌がらせをする『悪役令嬢』であることに愕然とする。なぜならみさきの一番の推しがクラウスであり、屋敷に来ないということは同じ頃にヒロインとの邂逅イベントが行われており、クラウスとヒロインが出会ったということは今後どのルートを辿っても自分とは決して結ばれることはないと知ったからである……