元婚約者としては誠に遺憾だが、王弟殿下には破滅していただく。

著者:れとると

「アカシア伯爵令嬢ミモザ・ブロッサム! お前との婚約は破棄だ! 俺はこのカトレアと結婚する!」

 ――――悔しい。だが認めるしかない。彼女は最後まで、詰めを誤らなかった。

「そうですか、エラン王子殿下。それはおめでとうございます」

 男爵令嬢カトレアは、どうにも未来の出来事を把握している節がある。

 私の婚約者たる第二王子、そして騎士団長や宮廷魔術師、枢機卿の令息たちを味方につけていた。

 こんなの反則だ! とは思うものの……これは敵わぬと見て、私はその結末を受け入れる。

 学園はなんとか卒業したものの、社交界からは追い出され、私は国の隅の森にひっそりと居を構えた。

 それから数年。王弟となった彼が私の屋敷にやってきた。

 私は彼――――エランの迎えた末路を、じっくりと聞くことにした。

 彼女の扱いで私を激怒させた……最後の一人の、話を。

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