優先するべきは

 ミュリエルの婚約者であるファビアンから来た手紙は、二人で出かける予定をキャンセルするという内容だった。彼の幼馴染だというメロディが学園に来てから、彼はいつもメロディを優先している。あまりに近すぎると友人たちが忠告しても、ファビアンとメロディは、兄妹みたいなものだから、と言って聞こうともしなかった。ファビアンはともかく、メロディがそう思っていないことは誰の目にも明らかだというのに。
 そんな状況はすでに噂になっており、ミュリエルは姉のロクサーヌからファビアンとの婚約を破棄してもいいと言われて、もう少しだけ待ってほしいとお願いした。ミュリエルはロクサーヌに、一ヶ月の間はファビアンとメロディに苦言を呈し、その後に一ヶ月でファビアンがどうするのかを見るように言われたのだった。
 貴族として、婚約者がいる身として、何を優先するべきか。
 ファビアンとメロディの行動が周囲にどういう風に見られているのかを彼に伝える。それをミュリエルは最後の贈り物として選んだのだった。
「苦い恋」シリーズです。ミュリエルの友人として、アンジェラが出てきます。

※「小説家になろう」は株式会社ヒナプロジェクトの登録商標です
本サービスは株式会社ヒナプロジェクトが提供するものではありません

レビュー