お望み通り悪役令嬢になりましたのに

「――それで用件だが、王子様曰く、過去に遡って君の学園での横暴な振る舞いを謝罪し、現王妃候補の前で跪けば身分の返還を――」

「そんなことを聞きたいわけじゃない」

彼女の目に剣呑な、昏い光が宿った。まさかこのチリチリする気配は殺気だろうか。公爵令嬢としての気品と同時に殺気を浴びた俺は、不覚にもその温度差にめまいを覚えた。

「何故殿下は今になって私を王都へ戻そうとしているのかと聞いている」

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