「リサ。婚約を解消させてくれ」
婚約者のヨハンから涙ながらに懇願されたリサ。
理由を尋ねるとヨハンは言った。
「君の妹がぼくの子を身ごもったらしいんだ。ぼくは責任を取らなくちゃいけない」
リサはこれはおかしいと思った。
なぜならヨハンは婚前交渉なんてもってのほかだ言って手も握ってこない男なのだ。
「その……私の妹といつからそんな関係に?」
「わからない」
「なにか心当たりは?」
「半年ほど前、君の家の主催で舞踏会があっただろう? その時、君の妹のベルとも一回踊ったのだけれど、手袋をし忘れていたんだ。きっとこれが原因だ」
――え、嘘でしょ? それで子どもができるわけないでしょ!
婚約者の純粋過ぎる貞操観念にくらくらしつつも、リサは妹のベルを問い詰める決心をしたのだった。
※アルファポリス様でも掲載しています
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