【短編】「愚か者でも可愛い弟だった」

侯爵家の次男として生まれた弟は母親に似て見目が良く、父親に似て魔力が高く、祖父に似て頭が良かった。

周囲から甘やかされて育った弟は、顔の良さと頭の良さと魔力の多さを鼻にかけるプライドが高く、自己愛が強い性格になってしまった。

私は、婚約者とのお茶会をすっぽかし一人で遠乗りに行こうとする弟を小突き、

婚約者への贈り物代を着服し自分のために高価な魔術書を買おうとする弟を叱責し、なんとかまともな人間にしようと努力した。

しかし私の努力は虚しく成長した弟は、
「愛人を囲うから金を出せ。愛人と暮らすための別邸を建てろ。僕の遺伝子を受け継いだ子供が授かるだけ幸運だろ」
婚約者に最低なことを言ってしまった。

その時私は水害に見舞われた領地の復興工事に携わっていて、王都を留守にしていた。

私は、弟が結婚するまで弟の側を離れるのではなかったと後悔した。

☆☆☆☆

【短編】「夫婦にはなれないけど、家族にはなれると思っていた」のスピンオフ作品です。

最低男リック・ザロモンの兄、フォンジー・ザロモン(侯爵家長男・常識人)視点の話です。

前作を読んでなくても本作だけでも楽しめるはず?です。

「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」

2022年4月1日、日間総合ランキング4位に入りました! ありがとうございます!

※「小説家になろう」は株式会社ヒナプロジェクトの登録商標です
本サービスは株式会社ヒナプロジェクトが提供するものではありません

レビュー