公爵の娘として生を受けた主人公のリリア。
彼女はメイドとの間に出来た不貞の子として、父や腹違いの妹に虐げられ、食事もロクに与えられず、離れに隔離されて生きてきた。
母は死に、誰からも愛されず生きてきた。
そんなある日、リリアに婚約話が舞い込む。
相手は【魔王】と悪名高いクルスニク公爵。
恐るべき黒魔法の使い手として、社交会では嫌われていた。
父は愛する義妹のかわりに、イケニエとして、魔王のもとにリリアを送り込んだつとりだったのだ。
だがリリアからすれば地獄のような環境から抜け出せるということで、嬉々として嫁ぐことに。
そこで出会った魔王、シリウス=フォン=クルスニクは、無口なだけでとても優しい人だった。
痩せてて可哀想な、けれど前向きに強く生きていくリリアに、シリウスはどんどん惹かれていく。
そんな中シリウスは、リリアの持つ【他者の心を読む力】に気づく。
『この子は凄い。精霊の言葉を理解し、心を通わせるものなんて、初めて見た。天才だ。素晴らしい』
「し、シリウス様、そんなに褒めないで。恥ずかしいわ」
一方リリアがいなくなった実家では、土地に恵みをもたらしていた精霊たちの怒りを買い、徐々に崩壊していく……
これは、心を読む力を持った令嬢が、無口で畏怖されてきた、けれど優しい公爵に溺愛され、無自覚にその力を認められ、幸せになっていく話。
レビュー