「ごめん……僕の本命は君じゃないんだ」
貧民層の魔女クシェルは、恋愛詐欺に引っかかって初恋を散らした……。と、そんな不幸があったというのに、さらなる不幸がクシェルを襲う。魔女の敵――警吏が訪ねてきて、問答無用で手錠をかけられ、連行されてしまったのだ。
その警吏の名前はシャルアスという。世間で『機械人形』とあだ名されている、心の無い冷酷無慈悲な男だ。
クシェルは魔女狩りを恐れたが……警吏シャルアスはまったく別の話を出してきた。『呪いをくらったので、その解呪を頼みたい』と。解呪の報酬は、なんと百万Gだそう。
呪いを解く方法は、『恋心を胸に宿す』こと。……けれど、クシェルには惚れ薬を作ることができない。が、生活のためにも、どうにかこの大金を手に入れたい!
「惚れ薬なしで、機械人形警吏を魅了して呪いを解いてみせるわ」
クシェルはシャルアスに恋をさせるべく、彼の駐在所にメイドとして潜り込むのだった。
そうして『解呪のための交流』と称して、駐在所に舞い込む事件に首を突っ込んだり、魔女の知恵で解決したりする日々が始まる。
当初の態度とは裏腹に、シャルアスはじわじわと絆されていき、ついには本当に恋に落ちてしまい――……?
――これは風変わりな感性と知恵、そして風のように自由な心を持つ、はみ出し者の魔女と、生真面目で頑なな機械人形のような警吏の、解呪へと至る珍妙な交流の物語。
(虫料理とか、モブの死体とかがポロッと出てきます。一部倫理観がありませんが、シリアスな物語ではありません。完結まで毎日数話ずつ投稿していきます)
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