世にも奇妙な『悪辣姫』の物語

『悪辣姫』と呼ばれるヘレナは我が儘で、誰も近寄らない孤高の姫。
そんな彼女が隣国の辺境伯、アレンデール・モレルに嫁ぐこととなった。

友好的ではないこの婚姻、そのため、アレンデールも警戒する中で彼女は侍女一人つけずに嫁いで来た。
想い合っている恋人がいる、そんな嘘まで吐いて政治的な問題でもある隣国の姫との距離を取ろうとするアレンデールに彼女は初夜の場で言った。

「前もって、お願いしたいことがございます」

その静かな声音も、表情も、アレンデールが知る『悪辣姫』の噂とは異なり彼を混乱に陥れる。

なぜならば、彼女は本当は――ただ、何もかもを諦めただけの女性だったから。

※この作品は主人公が始め良い扱いをされません。
※彼女を傷つける人はいませんが、家族が無関心であったという描写が多く含まれます。
※小説家になろう・アルファポリス・カクヨムで連載します。

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