「実はお前、魔王との隠し子だったんだ」
「父上……?」
エリスは勇者の息子として生まれた少年である。打倒魔王を目指して、日々頑張ってきた。しかしある日突然、父親である勇者アルバからそんなことを伝えられる。
自分が魔王との隠し子? 信じられない。そんな訳がない……と思っていたのだが。
「お前が使っていた魔法、あれ魔族の魔法だから」
だが、証拠としてエリスは魔族の魔法を扱うことができていた。直感的に使ってはいけないものだと思っていたが、実際は本当に使ってはならないものだった。
何故なら『魔族の魔法を扱う人間は裏切り者として処刑する』という法律がこの国には存在するのだ。こうなってしまった以上、自分は目立つことはできないと判断したエリスは平穏に生活することを望む。しかし、物事はそう上手くいかない。
「お前が正式に勇者候補として国家が編成したパーティに所属するよう命令があった」
勇者候補として国家が編成したパーティに参加することになったのだ。魔族の魔法を扱えるのをバレてはならないのに、目立つ立場へとなってしまうエリス。しかし彼は諦めない。処刑だけは絶対に嫌だ。
エリスは今日も、処刑に怯えながら『こっそりと魔族の魔法を使って無双する』生活を送ることになる。
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