いっそのこと、奪い去ってしまえばよかった。

『自分はきっといつか、こういう風に死ぬのだろう』

ファズメリア王国の中位貴族の息子カディオは、幼馴染の貴族の令嬢ユエナを暴漢から助け、大けがを負う。
時は経ち、美しく成長したユエナは第二王子の婚約者になっていた。
あるとき、ファズメリア王国は強大な隣国アシュトン帝国から、北の蛮族モーグ征伐の援軍を出すよう要請される。だが、モーグの武威を恐れた貴族たちは誰も指揮官として名乗り出ない。
国を守るということは、ユエナを守ることに繋がる。
そう考えたカディオは、指揮官として戦に赴く。
しかし、苦しい戦いを終えて帰国したとき、第二王子の隣にユエナの姿はなかった。

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