『我が王は、真実の愛のため名誉を捨てた』

著者:佐久ユウ

「私はマリーと婚約破棄する。そして独身を貫く。たくさん女を抱きたいからな。ゆえに庭園のはずれの離宮を王立公娼館『薔薇の苑』とする」

 筋書き通りの婚約破棄を王太子ヴィクトルは宣言した。その場で元婚約者の公爵令嬢マリーは王立公娼館『薔薇の園』の教育係として任命される。
 王はのちに「独身王にして十二人の庶子」「好色王」と人々に噂され、マリーは庶子たちの乳母となった。

 それでも彼女は幸せだっただろう。
 我が王は名誉を捨て彼女を守ったのだから。

 王の宮宰《きゅうさい》だった父ジャン・アングレームは本当はそう書き残したかったのではないかと僕は思い、ペンを取り出し書き加えた。
『我が王は、真実の愛のため名誉を捨てた』と。

(シリアスでも最後にはハッピーエンドです)

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