現代に生きる高校生吸血鬼の俺が、何故かクラス一の美少女から血を吸わせてもらうことに!?

著者:間咲正樹

「ハァ……、ハァ……!」

 とある放課後の帰り道。
 人気のない河川敷の高架下まで来たところで、いつもの発作が起きた。
 だが、ここまで酷いのは初めてだ……。
 全身から脂汗が噴き出て、視界が歪む。

「うっ……があああああッ!!」

 俺の上の二本の犬歯が伸び、鋭く尖った。

「クッ、クソッ!」

 思わず右の拳をコンクリートの壁に打ちつける。

「…………あっ」

 すると、壁が拳の形にポッカリと陥没してしまった。
 ヤ、ヤバい……。
 力が制御できなくなってる……。

 ――俺は所謂吸血鬼だ。
 中世の吸血鬼狩りで大分数を減らした吸血鬼だが、現代でも僅かながらその子孫は残っている。
 俺もその一人。
 吸血鬼は思春期になると、今の俺のように吸血衝動が抑えられなくなって発作が起きるのだ。
 とはいえ、誰かの血を吸って吸血鬼だとバレたら、人間に駆除されるのは必至。
 俺は血が吸いたい本能と、吸ってはいけないという理性の間で、板挟みになっていた。

「と、虎木君!?」
「――!!」

 その時だった。
 聞き慣れたアニメ声がしたので振り返ると、そこにはクラス一の美少女である十文字さんが、大きな瞳を更に見開きながら立ち竦んでいた――。

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