没落した転生令嬢は悪役令嬢代行します

 突然だが、伯爵令嬢エミリアは実家が没落した。

 母はすでに亡く、父は「冒険者になる!」と家を出た。自分のせいで出来た借金をどうにかしようと、一攫千金を狙って国外へ旅立ったのだ。

「せっかく貴族に転生したっていうのに!!!」

 そう。エミリアは転生者だったのだ。

 だが没落するまで現状に満足し、転生者知識を使うことなく生きてきた為、今更どうしようもなくなってしまっていた。前世の知識を使った商売を始めようにも、元手すらない状況だ。

「すまないエミリア……お前を学園へやる金もないんだ……」
「嘘でしょー!!?」

 父の代わりに奔走する兄に告げられ絶望するエミリア。この世界、16歳を迎える貴族は須らく王立学園へ入学する。もちろん学費は高額であるが、その学園を出ていない貴族はまともな婚姻も就職先も望めない。

「人生詰んだ……」

 そんなエミリアの噂を聞きつけてか、一台の豪華な馬車がやってくる。そこには最近黒い噂を聞く公爵家の当主が。

「エミリア嬢、娘の代わりに『悪役令嬢』をやってもらいたい」
「はああ!?」

 『悪役令嬢』なんて単語、久しぶりに聞いたエミリアだったが、

「もちろん報酬は弾む。この家を建て直すには十分なはずだ」
「喜んでー!」

 そうして始まったエミリアの学園生活。入学後、すぐに彼女は気が付いた。

「ここ、いけこれの世界じゃね?」
 
 俺様王太子
 腹黒眼鏡宰相の息子
 ミステリアスな大神官の息子
 女ったらしの隣国王子
 マッチョおっとり騎士団長の息子

 この顔ぶれ、前世で彼女の姉がハマっていた乙女ゲーム『いけめんこれくしょん』の世界だ。

 だがどうやら少々ゲームとは違う様子。ヒロインであるアイリスの様子がおかしい。それに攻略キャラクター達も……。
 
「この! 親の七光りどもがぁぁぁ!」 

 今日も今日とてエミリアの怒号が学園に響きます。

 エミリアは無事学園を卒業できるのか!? 
 
 いい縁談をゲットできるのか!? 
 
 それがだめならホワイト企業に就職したい!!!

 性格が悪い!? 腹が膨れるならそれでヨシ!!!

 そんなエミリアのドタバタなお話。 

※ノリと勢いを大事にしました。
 深く考えず気楽にお読みください
※なんでも許せる人向けのお話です
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