いっそ、悲劇だったらよかったのに

「愛している。カレン」

 そう言って私の夫は息を引き取った。最期の言葉は若くして亡くなった前妻への愛の言葉。今の妻である私には一言もなし。
 そんな彼の死に顔を見て、私は恨み言を呟く。

 ――ここで終わっていれば、悲劇だったのに。

 何の因果か、私は記憶を持ってもう一度同じ生を歩むことになった。

 今度は、今度こそは、あなたに愛してもらいたい。

 そう願って、何度も人生をやり直す一人の女性の物語。

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