当然私を雇って下さいますよね? 婚約破棄の慰謝料を支払う代わりとして・・・

「エレン=ワイドナリー嬢、君には悪いがこの場において、君との婚約を破棄して、僕は新たにここにいるマリアン=ジョーンズ嬢と婚約する事にする」
 エレンはその落ちくぼんだ瞳を限界まで見開いて、驚きの表情をした。そしてこう呟いた。
「破棄? 何故? 私は貴男に何か悪い事をしたのでしょうか?」
 学園の卒業パーティーで、トマス=アシュリーは突然婚約者に婚約破棄を言い渡した。しかし、その二か月後に、今度は自分がその新しい婚約者に捨てられてしまった。
 何故こんな事になったんだろうな。何故あんな女に夢中になったのかな? 彼が絶望して自分の商会でぼんやりしていると、ドアを叩く音がした。
 そして中へ入ってきた人物を見て、トマスは思わず目を見開いた。つい二か月前まではこの場所で一緒に仕事をしていた相手だった。しかもそれは、もう二度と会えないし、話も出来ないと思っていた人物でもあった。
 突然現れたエレンは挨拶一つもせずに、いきなり元の婚約者に対してこう言った。
「私をここで雇って下さい。
 当然雇って下さいますよね? 婚約破棄の慰謝料を支払う代わりとして・・・」

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