悪役顔令嬢の憂鬱

著者:たなか

「ひぃっ…す、すみませんっ!もうダニエル王子には、近寄りませんからっ!どうか許してくださいっ!」
涙目になって半分悲鳴のような弁解をしながら、一人の女子生徒が全速力で走り去っていく。
彼女の名前は、知らない。
私は、男爵家令嬢エリサ・オブ・フォーニエ。
ダニエル第一王子の婚約者…ではない。というより王子とは縁もゆかりも会ったことさえない。そもそも婚約者なんていない。
きっと彼女は、下心を持ってダニエル王子に接近していたのだろう。
でもそんなこと私には、何の関係もない。それなのになぜ彼女が私に謝罪し逃げ去ったかと言えば、その理由は、私が『悪役顔』だから、それに尽きる。
しかも、ただの悪役顔ではない。神に認められし悪役顔なのだ。

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