例えば、甘い声

著者:待宵

 30歳を過ぎた途端に気付く。ただ「楽しい」だけで恋愛できる年齢は、とっくに過ぎてしまったと。

 20代の頃よりずっと、一人でしっかりと立てているはずなのに。覚束ない足元に目を塞ぎ、家で一人、妄想彼氏の腕に逃げ込む。

 そんな空っぽのわたしのところに、きまぐれにやってくる彼女持ちの後輩、市川くん。

 彼はわたしの髪を撫で、柔らかく囁いた。

「ねえ、俺、すいちゃんのこと好きだよ」

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