「親父! 俺冒険に出たい!」
「は? いや、無理だろ常識的に考えて」
即答……きっと冒険者の母さんなら、背中を押してくれるはず――。
「それは無理よ常識的に考えて」
魔術師を夢見る少年、タクトは冒険に出たかった。しかし――世界にはモンスターが溢れている。
男は冒険者になれない、それは魔法が使えないから。
魔法が使えるのは女だけ……それが世界の常識だった。
夢を否定され、意気消沈するタクトの前に一人の老婆が現れる。
老婆はかつて、この世界を作り変えた『憎しみの魔女』と呼ばれる人だった……!!
「お前さんに魔法を使わせてやろう」
老婆の言葉にタクトは半信半疑だったが、この奇跡の出会いによって、タクトの冒険者としての道が開かれた……はずだった。
「お前はもう息子ではない! 今すぐ村を出て行け!!」
「……え?」
村中のみんなが豹変し両親でさえ、タクトを憎み、侮蔑する。
魔女から与えられた力、それは普通の魔法ではなかった。敵視《ヘイト》を自身に集める魔法。使えば周りは敵だらけになる。
両親から憎まれ、村を追放されたタクトは一人決意する。
馬鹿にしてきた奴らを見返して、最強の魔術師になってやるッ!!
これは、与えられた特異な魔法を武器に、世界でたった一人の“男の魔術師”を目指した俺の物語だ。
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