——君は行ってしまったけど、もう昨日の事でくよくよしない。普通の世界というものがあるならなんとかそれを見つけ出すんだ。その過程で僕は生き延びる術を見つけるのだろう——
高校を進学して直ぐに始めたバイト先で伊藤碧はちょうど同じ時期に入ってきた磯村恭一郎に恋をした。
互いに話しやすい関係にはなったもののその先の関係にまで発展する気配は待っていても来なさそうであった。
だがある日、学校からの帰り駅前の広場を歩いているとたまたまベンチに座っている磯村を見つけた。
声をかける伊藤、ただそれだけのはずだったが磯村は突然、伊藤を抱きしめた——
そこから二人は急展開で付き合う事になる。
夢が叶った、喜びに震える伊藤。
これから輝かしい日々がやって来ると胸をときめかせる伊藤であったが、
時おり磯村は不可解な言動をして伊藤を困惑させる。
どうしたの?と聞いても曖昧な答えしか返ってこない。
そんな日々が少しづつ積み重なっていくにつれて伊藤はある違和感が確信へと変わっていく。
そして意を決した伊藤は磯村の口からその真相をようやく聞き出す事ができた……。
同作者の別作「青い薔薇」のサイドストーリーです。第二章の最終話、そのまさに続きから物語は始まります。
主軸となる人物が様変わりして新しい側面が見られます。
その「青い薔薇」が未読でも読めるように書いていますが両作を読んで初めて理解できる箇所も散りばめられているので
是非この二つの作品を読んで濃厚な物語に100パーセント浸ってください。
レビュー