【百合】ラムレーズンララバイ

バリバリのキャリアウーマン沙夜と、イラストレーターの葵はとあるマンションの一室に一緒に住んでいる。
付き合いはほどほどに長く、気心も随分知れた頃合い。ある程度のスタンスはお互いもう出来ていて、それでも二人でいようと決めた。
しっかり者に見える沙夜、のんびり屋に見える葵。
本当は一人で生きてもいける、でもお互いがお互いじゃないとなんか上手く回らない。
一緒にいるから見えるものがあって、一緒にいるから幸せな瞬間に出会える。

ある日、葵は沙夜の秘密を見つけてしまう。
証拠は真夜中のラムレーズンアイス。
仕事に疲れた彼女は何も言わないけれど、日に日に疲労していく沙夜を支えるために葵がとった行動は。

不器用で、したたか。
情けなくて、愛おしい。
子供の頃みたいに上手くは泣けない、心の痛みも叫び出すことなんて出来ない。
大人になっても完璧な幸福なんて、見つける方が難しい。

これは特別でもなんでもないどこにでもいる二人の柔らかな、日常。

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