「セレーヌ・ノートン。貴様との婚約は破棄とする!そして、即刻国外追放処分だ!今後、俺の目の前に立てば、即処刑してやるからな!」
私の目の前で戯言を宣りやがったのは、ガレス王国王太子。
そして、私、セレーヌ・ノートンの婚約者だ。
ダンスパーティーが開催されたこの日、大勢の人の前で突然王太子エドワードは婚約破棄を言ってきた。
彼の隣には、今、可憐な少女が怯えた顔を見せながら、寄り添っている。
私が視線をやると、わざとらしく「きゃっ」と小さく悲鳴を漏らしてエドワードにしがみついた。
その少女を守るように、エドワードは前に出る。
それを白けた思いで眺めながら、一応エドワードに尋ねた。
「理由をお聞きしましょうか」
「貴様、生意気だぞ!言わなくても分かっているはずだ!嫉妬のあまり、マリアにした嫌がらせの数々、知らないとは言わせないぞ!」
「知りませんが?」
「何!?」
エドワードは、間抜けな顔を私に見せた。
*2000字前後のショートショート集で、世界は繋がっていたり繋がっていなかったりです。
*アルファポリスでも公開しています。
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