『住んでる世界が違う』と言われている御影さんは俺の隣の部屋に住んでいる

『住んでる世界が違う』それが御影遥を見た人間がまず最初に抱くであろう印象だ。
 同世代の女子より頭一つ背が高い。
 中学生にして既に170cmを超えている。
 それでいて整った顔は他の女子よりも小さい。
 制服の裾から覗く手足は白くて細い。

 ──細胞単位で普通の部分がない。

 あまりにも完璧過ぎるが故に人は憧れよりも先にある種の恐怖を抱く。
 そして畏敬の念を持って「住んでる世界が違う」と結論を出すのだ。

 だけど……俺の部屋に転がり込んで漫画を読んでいる遥は体だけ先に成長してしまったクソガキにしか見えない。
 だって、住んでる世界が違うと言われている遥は小さい頃からずっとアパートの隣の部屋に住んでいる同い年のお隣さんなんだから。

 ふとした仕草にドキドキさせられたり、からかいあったり。
 中学三年生、大人と子供の間。
 
 ……きっといつか、それも遠くない将来。

 遥は名前の通り遥か先に行ってしまうんじゃないかと、「住んでる世界が違う」人間になってしまう、そんな確信にも近い予感がする。

 それでも中身はまだ子供っぽい遥が遠くに行ってしまうのはまだ先だと──そう思っていた。

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