奪われてあきらめて泣き寝入り。それが私の人生でした。けれど、彼だけは絶対にあきらめません

著者:一ノ谷鈴

「また、取られてしまった……」公爵令嬢ジーナは、一人泣き崩れていた。彼女が捨てられるのは、これで二回目だ。最初の婚約者は一つ下の妹に奪われた。そして今度は、末の妹が彼女の婚約者をかすめ取ってしまったのだ。
 二度も婚約が破談になった、行き遅れの娘。そんな噂から逃れるように、ある日彼女は人気のない森に足を運ぶ。そこで彼女は、一人の男性に出会った。
 互いの名も素性も伏せたまま、二人は森で幾度となく言葉を交わしていく。彼女の傷ついた心は、少しずつ癒されていった。
 けれど、幸せな時間は突然終わりを告げる。もうここには来られないと、ある日彼がそう言ったのだ。そうしてジーナは、またひとりぼっちになってしまった。
 けれどジーナは、もう泣きくれることはなかった。その代わりに、彼女は懸命に考えた。どうすれば、もう一度彼に会えるのか。気弱で引っ込み思案だった彼女は、人が変わったように積極的になっていた。ただ彼を見つける、そのためだけに。
 彼女の努力は実り、二人はまためぐり合う。そうして彼女は、彼が隠していた事情のすべてを知ったのだった。
 ※全七話のお話になります。

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