悪徳領主一家の役立たず妖女は、善良な搾取に邁進するようです!〜親に売り飛ばされた隣国で、勤勉な彼女は溺愛される。〜

『貴族たるもの、悪であれ。ーーー貴族にとって一番の悪は、労働である! 誰よりも働け!』

 そんな、悪の定義が少しおかしい悪徳領主一家に生まれ育ったアザーリエは、妖艶で色香漂う、社交会で悪評を存分に振り撒いている美女だった。

 しかしその内実は、内気で気弱で自己卑下の激しい陰キャそのもの。
 流れる悪評と裏腹に、領地では勤勉に『労働』という悪を行う家族たちに、役立たず呼ばわりされている。

 身の回りのことは全て一人で出来るけれど、人に指示したり物を頼んだりは一切出来ない。

 そんな彼女は、両親の決めてきた縁談で隣国へ売り飛ばされた。

『悪虐非道と噂の公爵の元で、少しは悪というものについて学んでこい!』
『ひぃ! は、はい、お父様! わ、わたくし頑張って参りますぅ!!』
 
 不安で押し潰されそうになりながら赴いた隣国では、旦那様は金は使わせないと言い、使用人たちは冷たい対応。
 色気たっぷりで、何も出来なさそうなアザーリエを蔑んだ目で見てくるが。

『あれ……? 誰にも構われない……パラダイス?』

 誰からも無視されて一人ぼっちという、この世で最も望んでいた境遇を手に入れたアザーリエは、テンションぶち上げで好き勝手に振る舞うことにした。

 掃除に洗濯、料理にお風呂も薪割りから全て一人でテキパキこなすアザーリエの外見とのギャップに、武勲で鳴らした旦那様はだんだんと心を惹かれていく。

 やがて使用人たちとも打ち解けて、幸せな生活を手に入れたアザーリエの元へ、彼女に惚れていた幼馴染みがやってきて……?

 遥 彼方さんの『共通恋愛プロット企画』参加作品です。
 プロットは長岡 更紗さんのものを使用しています。

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