死霊の姫君ヤロスラヴァは思う。ただわたくしを見て欲しいだけなのにと。

 王国の末姫、ヤロスラヴァは美しい少女だが離宮にひとり幽閉されている。
 なぜなら彼女が神より授かった加護は霊王であったから。それは死霊術師の才能であり、かつての魔王と同じものである。
 彼女を父である王も、使用人たちも見捨てている。しかし彼女は霊を使役することで生きながらえていた。

 長き幽閉ののち、彼女の前に立った一人の騎士。
 彼はダヴィト・フェダーク。最強の騎士の称号、黒騎士であるが、彼もまた死を齎らす加護を有し、疎まれている者であったのだ。

 忌み嫌われる能力を持つ二人が出逢い、互いに惹かれるようになる。
 そして戦乱の気配が迫る中、ヤロスラヴァは囚われの離宮から飛び立つ意志を固めるのだった。

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