拝啓、婚約者さま。お元気でしょうか?

著者:神山 りお

拝啓、婚約者さま。お元気でしょうか?
 最後にお会いしたのは、私の卒業式でしたでしょうか。結婚式も来年となり、色々とご相談したく屋敷に行ってみたのですが、大変な領地に派遣されていましたね。
 手紙もまったくなく、もしかして長期派遣にかこつけて、浮気でも? とチラリと考えたら、昼寝が出来なくなりました。
 父は王宮に行ったっきりなので領地の仕事は、私一人でやっております。実をいうと少しバカで可愛い弟が、仕事を手伝ってくれていたのですが……最近ポカをしてしまい、どこか僻地へと鍛え直しに行かされました。
 代わりに補佐役の方に手伝ってもらう様になりましたが、あまりにも突然でしたので、すぐに弟ほどの仕事量は任せられず、悲しい事にティータイムの回数までもが少なくなりました。
 婚約者さま。貴方に会えなくなり早半年が経とうとしています。
 そろそろお顔も拝見したくなりましたので、お暇を見つけ次第、そちらに行ってもよろしいですか? もちろん、手土産をお持ち致します。
 なるべくすぐに向かいますので、お待ち下さいませ。
 ただ、先触れより私の方が早く着きそうなので、突然の来訪になりますが驚かない下さいね?

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