カラス令嬢は幸せになりたい

『精霊様。精霊様。どうか私の願いを聞いてください』

 人生の不幸を苦にビルの屋上から飛び降りた智花は、最期の瞬間に謎の声を聞いた。
 気が付くと、記憶にない場所で別人になっていた。
 そこは親友の咲希が書いた長編ファンタジー小説『銀の乙女』の世界。智花は、小説の主人公エリーに嫉妬し陰謀を企てた末に断罪される悪役令嬢レイラ・シュネーグランツに憑依してしまったようだった。

 悪役ながら芯のあるレイラの生き方が好きだった智花は、レイラの苦衷が書かれた日記を読み耽り、物語のヒーローである王太子ジェラルドとの出会いを経て、悪役令嬢レイラ・シュネーグランツとして生きることを決意する。

 作中では傍若無人な公爵令嬢として描かれていたレイラだが、実際は黒い髪と瞳を理由に「カラス令嬢」と蔑まれ、家族や使用人達から冷遇されていた。この世界では、レイラの容姿は不吉の象徴として忌み嫌われていたのだった。
 周囲の貴族達にも疎まれ、権力の財力の玉座にひとりぼっちのレイラは、孤独と嫉妬に狂い、幸福を渇望し、やがて破滅した。

 そんな結末は断固拒否!

「レイラ。私があんたを幸せにする……!」

 幸せになるためには、それを阻む障害を排除するしかない。
 不幸な結末を回避し、誰よりも幸せになるため「カラス令嬢」の逆転劇が始まる――!

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