「せっかくだから僕も愛人を作りたいんだけど、いいかな?」と婚約者に訊かれたんだけど、せっかくだから、とは?

著者:間咲正樹

「でね、三位決定戦で僕は圧勝して、見事三位入賞を果たしたというわけさ!」
「へえ」

 婚約者であるジェフとの、二人だけの茶会の席。
 いつもながらのジェフのつまらない自慢話に、適当に相槌を打つ。
 大した実力者も出場していない、内輪だけのフェンシング大会で三位になったくらいで、どうしてそこまでドヤれるのかしら?
 せめて一位になってから出直してきてほしいものだわ。
 まあ、口振りからして準決勝ではボロ負けしたっぽいし、到底無理な話でしょうけど。

「ああそうだ、ところでエレン、実はちょっと大事な話があるんだけどさ」
「……!」

 私は思わず身構えた。
 ジェフがこういうことを言い出す時は、決まってろくなことがない。
 以前カジノで散財して多額の借金を抱えてしまった際は、両家を巻き込んで大騒動になったものだ。

「……何?」
「うん、実はさ、せっかくだから僕も愛人を作りたいと思ってるんだけど、いいかな?」
「…………は?」

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